その日の夜たった一言だけ、
「ありがとう」と、翠からメールが入っていた。
着信があったのは、3月に入ってすぐのことだった。
「今から氷川神社、これる?」
結果については触れず、待ち合わせを指定してきたところが、翠っぽいなと思った。
なんでこの前の神社なのかはよく分からなかったけど。
翠は、絵馬が飾られてあるところの近くにいた。
少しドキッとしながらも、翠の視界に入る位置まで回り込む。
「お疲れさま」
茶色の瞳に見つかると同時に、そんな言葉をかけた。
微笑んでみたけど、表情筋がこわばってるというか、動きにくい。
「受かった」
取り払ったのは、シンプルな言葉。
「…え?」
前触れもなく受けた報告に、頭のチャンネルがついていかない。