なんていう偶然。
…ううん。偶然じゃない。
翠の大学受験の本番は、明日だ。
前日の今日に、地元に唯一あるこの神社に、参拝に来る可能性はあった。
とは言え、24時間分の数分間。
偶然という名の必然。
そんな表現がピッタリな気がした。
映画のワンシーンのように、ゆっくりと足を止めた二人。
充分その間を味わって、
躊躇うよりもごく自然に、お互いに近付いていたと思う。
「…久しぶり」
翠の声が、心に触れる。
…会いたかった。
空いてしまった距離が苦しくて。
平気なフリをしていたけど、虚しさと僅かな後悔が、いつも私を支配していた。
ずっとこうして、また向き合える日を待ってたの。
「……元気?」