私はモジモジしながら少し思い出しつつ彼の覚えてる限りの記憶を話した
美奈はその話を真面目に聞いていた
「へぇー…じゃ日本に一度来たことあってその頃に…惚れちゃったの?」
とからかい気味にニヤニヤとする美奈
「惚れちゃったって…!…そうだけど、今どうしてるのかなーって考えちゃってたの」
少しポーっとなりながら話した
ゆーきは今も誰かに優しいままなのかな
ゆーきは今も私を覚えてるのかな
ゆーきはあの日の事、覚えてるかな
そんなことを考えてるとまたやってしまったと言う表情で我に返った
恥ずかしいところを見せた、と言う気持ちで美奈を見ると何か、美奈が考え事をしていた
「どうかしたの?」
と聞くと美奈は私に質問してきた
「そのさ、ゆーきって子は…もしかして」
その言葉に反応した
もしかして?もしかして…
美奈はゆーきのことを知ってる!?
そう思うと少し緊張してしまった
しかし聞いてきたのは思ってたのとほんの少しだけ違う質問だった
「こう…目つきが怖くて…」
「目つきが怖い!?」
「ヤンキーっぽくて…」
「や、ヤンキー!?」
「誰も近寄りたがらない一匹狼みたいな人…?」
「一匹狼!?」
彼のイメージと正反対の質問しかしてこない美奈に私は全力で反応してしまった
多分その人違う人だと思うよ、うん
否定すると美奈は頭を掻きながら謝ってきた
「いやーごめんごめん、ウチに一人だけゆーきって名前の奴がいるからそいつかなー?って思ってさ」
笑いながら流す美奈であったが
少しするとポスターのひとつに目を付けて指を差し言った
「一応、確認してみる?」
「え?何を?」
問いかけに質問で返すと美奈は言った
「そのゆーきがいる映画研究部、今は多分屋上で活動してるだろうからさ!」
映画研究部
ポスターには誰かの手書きの絵が描かいてあり
黒髪で眼鏡をかけた
黄色いメガホンを持つ
釣り目の男の子が描かれていた