ゆーき、彼はそう名乗っていた
父に頼んであえてこの街に
あの時ゆーきと出会ったこの街に引っ越した
まだこの街に住んでいるのだろうか
そう思い彼を思い出すと少し緊張で胸が引っ張り上げられる感覚がした
「…ー?…アリスちゃん?」
気づけばそんな一人空想に入ってる間に美奈が顔を覗き込んできていた
「へっ?あ、ごめん…」
慌てて目の前で手を振り「大丈夫だよ、何でもない」と言わんばかりのジェスチャーをすると
美奈はニヤニヤしながら問いかけてきた
「さては好きな男の子の事でも思い出してたにゃー?」
何故か変な語尾を付けながら美奈が図星を付いてきた
「へっ!?ち、違うー…事はないけど…」
と、少し素直に答えてみた
別に隠すことはないと思ったからだ
少しだけこの街を探してみようとも思ってたし…
この子ならそんなに言いふらしそうにないし
「マジだった!?教えて教えてアリスちゃんの恋バナー!あ、絶対誰にも言わないよ!うん!」
…少し自身を失ったが