「当たり前でしょ!」

「夏菜……あたし、この子殺したくない。

産みたいよぉ……」

さとみの目からは涙がボロボロと流れた。

「あたし、この子と一緒に死のうって

思った」

さとみがつぶやいた。

「バカ!」

あたしはさとみの頬を思いっきり叩いた。

手がジンジンする。

「そんなことしたら、

みんなが悲しむでしょ?確かに赤ちゃん

殺すってつらいよ。あたしはさとみじゃ

ないから、さとみの気持ちは全部

はわからない。

でもさとみがいなくなったら、あたし

つらいし耐えられない。それにさとみ、

あたしに死ぬなって言ったじゃない!

さとみのお腹の子も、

そんなこと望んでないよ!

お母さんでしょ!?

ちょっとの間でもその子のママでしょ?

しっかりしなよ!」

「夏菜、ごめん……」

さとみの涙は止まらなかった。

胸が痛い。

あたしが隼人と百合、渉にさとみが

見つかったことを伝えると、

みんなすぐに駆けつけてくれた。

「みんな……迷惑かけてごめん」

さとみは深く頭を下げる。

「自分を責めるなよ」

隼人は一言そう言った。