怒りの矛先はあたしに向けられた。

この言葉がきっかけで、

あたしのイライラが爆発した。

「あたしはお父さんも大好き!

悪く言わないで!」

「なに生意気なこと言ってんのよ!

あんたはあの男にも捨てられたんだよ!

あんたの味方なんか、

だれもいないんだよ!だれも、

あんたなんか必要としてないんだよ!

あんたなんか死んじゃえばいいのに!」

そう言い放ち、母はあたしをあざ笑った。

あたしは必要とされてない。

だれにも愛されていない。

あたしは、ここにいちゃいけない。

あたしはボストンバッグに

必要なものを詰め、家から出ようとした。

もしかしたら母が引き止めてくれるかも。

それは淡い期待だった。

母はあたしになんか目もくれず、

お酒を飲みながらテレビを見ていた。

あたしを引き止めてくれたのは

里奈だけだった。

「お姉ちゃん行かないで!

置いていかないで!」

泣きじゃくる里奈の手を振り払い、

あたしは家を飛び出した。