「あたし、生きてたんだ……」

あたしの第一声がこれだった。

ーバシッー

さとみはあたしの頬も叩いた。

乾いた音が病室に響く。

鈍い痛みが頬に伝わる。

そしてさとみは、あたひにつかみかかった

「さとみ、やめて!」

百合が泣きながら止める。

「離して!夏菜のバカ!死んだら全部

終わりなんだよ?生きたくても

生きられない人がたくさんいるの!

なんで、こんなことするのよ!

あたしたちに言ってくれないのよ!」

「ごめん……」

あたしの目からも一筋涙が流れた。

「もうこんなことしないって誓って!」

さとみは泣きながら、

あたしの体を揺らした。

「ごめんなさい……

もう絶対にしないから……」

さとみがあたしを抱きしめた。

温かい。

そのときだった。

ーガチャー

「一樹……」

「夏菜が迷惑をかけてすみませんでした」

そう言って兄は、

さとみと百合に深々と頭を下げた。