里奈がいないと、

あたしにはもうだれもいない。

本当に独りぼっちだから……。



春になり、あたしは里奈を

置いて父の元へ行った。

泣きながらトラックを追いかけて来る

里奈の姿が目に映る。

とめどなく涙が溢れた。



高校に入学し、父と同居を始めても、

ほとんど顔を合わせないすれ違いの生活。

寂しくて寂しくて……。

あたしは気を紛らわすために、

また夜の街へ出た。

「ねぇ君、いくら?」

父と同じくらいの年のオヤジが

話しかけてきた。

「あたし、したことないんで」

逃げようとするとオヤジは

さらにあたしの手をつかみ、

「上乗せするから」

そう言った。

あたしはどうせ汚れている。

たくさん汚れればいい。

心配してくれる人なんて、だれもいない。

必要としてくれる人なんて、

だれもいない。

愛してくれる人も、だれもいない。

自暴自棄になったあたしは、

オヤジとホテルに入った。

「可愛いね。名前なんていうの?」