美人でもない。可愛くもない。

頭がいいわけでもない。

なんの取り柄もない普通の女の子。

あたし、神崎夏菜。

あたしの家族は両親と

二つ年上の兄、一樹。

そして一つ年下の妹、里奈。

それにあたしの五人家族。

割と裕福な家庭に育ち、

近所でも仲のいい家族で有名だった。

父は休みの日は必ず、

遊園地、動物園、水族館ー。

あたしたち兄妹の行きたいところへ

連れていってくれた。

出かける日は、母は必ず朝早く起き、

家族のお弁当を作ってくれた。

あたしはその唐揚げが大好きだったのを

覚えている。

今では、その唐揚げがどんな味

だったかも思い出せない。

兄はサッカーが大好きで

小学校の低学年の頃から

地元のチームに所属し、あたしも

見よう見まねでサッカーをやっていた。

兄は優しくて、あたしたち妹を

いつも練習に連れて行ってくれた。

あたしは、兄の友達やサッカーの監督に

可愛がられていた。

今思えば、男まさりな

性格だったのかもしれない。

妹の里奈は本が好きで、

いつも本を読んでいた。