次の日の夜、父は離婚届を

持って家を訪ねて来た。

家族の感動の再会なんて

あったもんじゃない。

母は素直に離婚届に判を捺した。

問題はそれから。親権のことだ。

こんなひどい親の姿なんて

見たくなかった。

「あたしは夏菜を引き取るのはごめん!

あなたが引き取りなさいよ!」

「夏菜は女の子だぞ。

母親が必要じゃないか!」

そんな言い争いがずっと続いた。

あたしはいらない子。

愛されていない。

必要とされていない。

お父さん、お母さん。

二人は愛し合って結婚したんでしょ?

愛し合って一樹や里奈、

あたしが生まれたんでしょ?

愛せない子供なら、

はじめからつくらないでよ!!

愛なんて信じない。

永遠の愛なんて、どこにもない。

父に引き取られようとも、

母に引きもられようとも、

もうどっちでもよかった。

わかるのは、あたしの居場所が

どこにもないことだけ。