｢貴方達、教室の前で何をしてるの!｣
口調は穏やかだが廊下にいる生徒に言い聞かせる様な声を出しながら、自称二十代後半の女教師が廊下にいる野次馬の間を割るように教室へ入った。
そして何か言おうと口を開きかけたが、教室内の異様な雰囲気を察し口を噤んだ。
女教師の視線は直ぐに○○○○の脇腹へと向けられた。
｢○○さん、その…傷？はどうしたの？｣
｢彼等に…刺されたの｣
女教師の問いに○○○○は目の前の四人を見て答えた。
たが女教師は○○○○の言っていることが理解出来なかった。
確かに脇腹には傷の様なモノがあり、血の気を感じさせない血色の悪さと虚ろげな表情。
たが本当に刺されて脇腹の傷が出来たならば、此所で立って会話できる筈がない。
女教師は常識的に考え○○○○の目線の先へと視線を向けた。
倒れた椅子の近くにいる男子生徒は女教師を見て必死に顔を縦に振り、涙を流している女生徒も女教師の方へ顔は向けなかったが一度だけ頷いた。