散々道に迷い、四苦八苦しながらやっとのことで辿り着いた理事長室。

重厚な扉のドアベルを鳴らすと、

「只今留守にしていまーす」

というなんとも気の抜けた間抜けな返事が返ってきた。

「……」

れいんは胡乱な目をすると、気にせずドアを開けた。

そこにいたのは革張りのソファーに座りデスクの上に足を乗せてふんぞり返っている男。

「あ~?留守にしてるって聞こえなかったのかテメェ……おお、れいんじゃねぇか」

ソファーにひっくり返っていた男は頭を起こし、れいんを認めるとまたひっくり返ってしまった。

「…なにしてんの」

「あ?なにってお前…。俺理事長だから」

「んなことは知ってる。仕事は?」

訝しげに聞くと、

「あ~?かったりぃな」

とか言いながらデスクに向かう。