おそらく血だろう。
私の手の近くには小刀が刺さっていた。
なんで、こんな所で刀が飛んでくるのだろう。
少し疑問に思ったが、そんなこと気にしてる暇はなかった。
「立たないと…」
そう思い、立ち上がろうとした。
だが。
「っ…!」
足首に鋭い痛みが走る。
痛い。
「もう一回…」
また痛みが走る。
まずい。立てない。
「どうしよう…」
このままでは、この場所から出れないし
里にも帰れない。
第一、人間に見つかってしまう。

私は人間じゃない。
妖と呼ばれるものの一種だ。
だから、人間なんかに見つかったりしたらお終いだ。
その為に、猫の耳を隠す布を持ってきていたのに、迷っている間になくしてしまった。