「♪~」
腕をおろして揺らした六本の弦が、ギターの音を奏でて、駅前に一度しか流れないBGMが響く。

ギターを抱えて見えるこの小さな景色が、唯一好きな世界。

何気なく通り過ぎていく人、前に座って聞いてくれる人、お金を入れてくれる人。

どんな場面であろうと、僕の詞、僕のメロディを今ここで流す事で、自分が生きている気がするんだ。


きっと今までなにも築いてこなかったから…

人より少し出来る歌だけが、唯一誇れるものだから。


でも、今やってる路上は自分にとって今までとは違った。

それは、“自分が変わりたい”と真剣に思った日で、後に僕の人生を大きく変える日でもあった。

景色を広げたかった。