「……ねぇ壱樹。私、美月ちゃんと友達になりたいんだけど協力して欲しいの」

「友達?」

「うん。駄目かな?」

めったにしない上目づかいで壱樹を見ると、みるみる顔を真っ赤にさせて手の甲で口元を押さえながら視線をさ迷わせている。そんなに動揺することないのに、と内心思いながら顔を変化させる壱樹。

「ゴホッ。協力って何すれば良いわけ?」

「例えば………」

意外にもあっさり承諾してくれた壱樹に拍子抜けしつつ、美月ちゃんと友達になろう大作戦会議をしていると、突然ガラッと豪快な音を立てて教室のドアが開いた。

「……っ、!」

そう、ここは特進Sクラス。いつ彼が入ってきてもおかしくないわけで。ティーシャツに薄手のパーカー姿の雄大は、私達を見て一瞬瞳を見開くと、何事も無かったように真っ直ぐ自分の席に向かう。

「あれ、部活は?」

「今終わったとこ。携帯取りに来ただけ」

「ふぅん」

壱樹と軽く会話を交わして窓側の三番目の机の椅子をひく雄大。それと同時にバサバサと床に落ちたのは手紙らしきもの。

「相変わらずモテるよね雄大は。いちいち呼んで返事するのも面倒じゃない?」

「俺はお前と違ぇから。中には真剣なモノもあんのに、答えねぇと失礼だろ」

「流石だね」