「……まぁ……はい。ウチ、貧乏ですから。親も事情があって働けないので、今は市の援助とバイト代でなんとか生活してます」

「へぇ、そう」

「イヤですよね。こんな貧乏女」

笑顔でそう言えば、私を無表情で見つめる葉山クンと目が合う。このまま私に構うのを辞めてくれたら……そう思ってたのに奴の口から出た言葉は意外なもので。

「なんで笑うの?」

「え?」

「本心はツラくて苦しいはずなのに、どうして笑ってられるのかなって思って」

「………っ、」

「手を差し伸べてあげようか?俺なら凛をドン底の生活から助けてやれるよ」

そう言って手を差し出してくる葉山壱樹。当然、そんな気はさらさら無い私は即座に顔を背けて淡々と帰り支度を続ける。

「知り合って間もない人にそんなこと頼めません」

「怒んないでよ。ここで簡単に俺の手を取るような女なら、好きになってない」

「え?」

「それに俺、そこまで人良くないし。最初から凛を助けるつもりなんてなかったし」