「ん?どうした。えーっと神崎。」


首を傾げながら名簿を見て私の名前を呼ぶ先生


「先生、今"全寮制"って言いました?」


聞き間違いということもある


そのことを願っていたが


「ああ。パンフレット見なかったのか?」


コクッ


静かに頷く麗華


自室のテーブルの上にパンフレットが
置いてあったけど


普通の学校だと思って目を通さなかった


まぁ、これだけ綺麗な校舎なだけでもう普通の学校じゃないけどさ


……お父さんもお父さんだよね
説明しないとか…


鞄からスマホを出す


プルルルル…プルルルル…


<はーい☆どーしたんれ・い・かぁ❤︎>


2コールで出たお父さん


いや、理事長?


「ねぇ。全寮制なんて聞いてない。」


するとお父さんは

<ん?あれー言わなかったっけー?♪>

と知らないふりしてる


「全寮制ってこの学校で1番言わなきゃダメなことじゃない?男子校って言った後に。」


少し声を低めにして言うと
生徒の顔が強張った


真顔で声低くしてるんだもん
そりゃビビるよね


<やーん怒らんといて麗華ぁ☆
ちゃーんと荷物は送らせておいたから♪>


いつの間に…

これで怒るなって言う方が無理でしょ


「そ。もういい。切ります。さようなら。」


どうせ今頃言ったって何も変わらないし


<え、ちょ!麗華ひ>ブチッ


呆れるにも程がある


電源を切って鞄に戻す


そして固まってる先生を見て


「先生。続き話してください。」


と言うと


「…え、あ、ああ。」


この時、あの短気男は静かに笑っていた