「位置について。よーい、どん!」
その声と共に大地を勢いよく蹴る。
少し肩にかかるだけの髪が思い切りなびく。ほんの少しの衝撃とほんの少しの間にその瞬間は訪れる。私の体は羽が生えたかのよう。そして、みんなの視線の支配者となる…。
「うん。つまり、こけたのね。」
「…。」
ここは保健室。それはなぜか?
遡ること一時間前…。
体育の授業でリレーをやることになり、
私は第1走者を任された。
しかし、いきなりスタートダッシュに失敗し、顔面から勢いよくこけてしまった…。
そのあと、マヌケ面の私は膝小僧と鼻からの出血多量により、保健室行きを命じられたのである。
「よくまぁこんだけ派手にこけたわねー」
「ええ…、まあ……別に運動音痴とかではないんですけどね…なぜだろう?」
「あ、そうなの。運動嫌いじゃないの?」
「はい、どちらかと言えば好きな方です。でもなんだか昨日からついてないっていうか…」
「危なっかしいことばっかりしてると
せっかくの美人が台無しよ。もうー。
それじゃあ私、体育の先生と担任の先生に報告してくるから」
「…あ、はい」
「おとなしくしてるのよー?」
「は、はい……
…ふぅー。また派手にやっちゃった…
最近本当についてない…(泣)」