そして試合はその後も続き、2対5で春輝のいるチームの勝ちとなった
引退試合ということもあり、中には泣いている人達もいた
試合終了の挨拶が終わったと同時に、野球部の皆が集まりだす
3年生を囲うように輪を作り、泣いたり笑ったり、話をしているようだ
「試合、終わっちゃったね」
「...うん」
「これで、春輝君も引退だね」
「...うん」
「春輝君は、寂しくないのかな」
「......さあ、私には分からないや」
グラウンドを見ると、春輝は泣いていなかった
むしろ、泣いている後輩達を慰めている
「本当、春輝は優しいんだから。自分だって、泣きたいくせに......」
そう、小さく呟いた独り言は、誰にも聞こえず空に呑まれていった