2人が出て行った後、私は雑巾を水道まで行って絞る。
その時、初めて手に激痛を感じた。
そういえば私、手を怪我してた……。
ま、心配してくれる人なんて誰も居ないけどね。
それにしても……
「参ったな……」
杏奈だけじゃなくて、まさか隼人先輩までが敵だったなんて。
だから毎日私の様子を伺いに来てたんだね…。
「もう…ここまで来たら…私に味方なんて居ないよね…」
今になって恐ろしくなる。
杏奈を刺したこと…。自分が抱いた感情…
しかもそれを許されると勘違いしていた事……。
赤い水たまりを雑巾で綺麗に拭きながら思った。
でも、もういいよ。
何から何まで、全て敵になるまで私は足掻いてみせる。
そのためには、桜や涼だって、騙し通してみせる。
杏奈だって私を騙し通せたんだもん、私にだって出来る。
そうしなくちゃ、私の居場所なんてない……。
そう…もう、私の安心する居場所なんて、どこにもないんだ…。