私は杏奈に渡し損ねたブラウスを着て、着衣を整えた。
そして隼人先輩の横を通り過ぎ、自分の手が傷つくことも忘れてナイフの刃の部分を握った。
そのまま引っ張って、血みどろになったナイフを私は鞄に入れる。
隼人先輩のまん前に立って、私は先輩を一直線に見つめた。
その眼差しは、杏奈に向けられたものと同じ……
隼人先輩の視線も、いつもとは違うモノとなっていた。
「次邪魔したら……先輩も、杏奈と一緒に制裁してやるんだから…」
私の発したその言葉の意味は、先輩は十分に理解したようだった。
その言葉を聞いて、隼人先輩は杏奈を誘導して図書室から出て行った。
あのまま涼のところにでも行くつもりなのかな?
でも…きっとそうはさせないね。杏奈が…。
私がどれだけ傷付けられて苦しんだか…杏奈にはたっぷり教えてやったつもりだから…。