3年ぶりに、あたしはこの街に帰ってきた。
そして今日から、新しい学校生活が始まる。
少し癖のある髪の毛を必死に整える。
お気に入りの香水を4プッシュ。
スカートは折って、膝より数センチ上にして、
慣れないネクタイを締めて、ブレザーを羽織ったら…
「よしッ!準備完了!」
あたしは岩尾 櫻子( イワオ サクラコ )。
今日から高校生の、15歳。
小6までこの街、この家に住んでたんだけど、
お父さんの仕事の関係で海外に行ってた。
で、4月初めに日本に帰って来て、今日は高校の入学。
「櫻子〜!朝ごはん、早く食べないと遅れるよ〜」
「はぁ ーい!」
急いでリビングに駆け込む。
「あ、そうそう。
奏多くんと涼介くんって、わかるよね?」
「うん、もちろん。」
大宮奏多くんと篠塚涼介くん。あたしと同い年で、同じマンションに住んでた。
確か、涼くんは10階かな?うちの、いっこ上。
そんで、奏くんは、最上階の13階。
階は違ったけど仲が良くて、いっつも3人で遊んでたのを覚えてる。
「んで、奏くんと涼くんがどうしたの?」
「2人とも、まだここに住んでるんだけどね、
なんと!同じ高校らしいよ!」
「え!」
「昨日偶然、ロビーで大宮さんと篠塚さんに会ったから、
久しぶりに話し込んじゃったんだけど…」
あ、何かお母さん嬉しそう。
海外でのご近所づきあい大変だったからだろうな。
「櫻子が、帰ってきたばっかりだから不安だって話したらね、
奏多くんと涼介くんが、一緒に通学してくれるって!」
「え!?」
「だから、迎えに来てくれるらしいのよ。」
「嘘!え、迎えって…何時に?」
「7時15分だって。」
15分?慌てて時計を見たら…
「もう!あと5分じゃん!
何で昨日言ってくれないの〜?」
おかあさんは、昔から少し抜けてる。
「ごめん、忘れてたッ!」
「も〜、しっかりしてよ!(笑)急がなきゃ!」
あたしは超高速でご飯を食べて、部屋に戻る。