慌てて窓を開けると、グイッと窓から身を乗り出して、
「佑真君!」
そう声をあげた。
それに佑真君が僅かに眉間に皺を寄せたのが見える。
「危ねぇぞ、葉月!」
「大丈夫」
「ほんとかよ?」
「ほんとだし!」
たまに、空の星が見たくなった時とかにしているから窓から身を乗り出すなんて慣れたものだ。
佑真君から見たら危なそうに見えるんだろうけど。
「佑真君、夜だけど一人で来たの?」
「大学生は夜に一人で外出しても良いんだよ!馬鹿葉月」
「だね」
私のわざとらしい質問に多分ニカッと笑って答えているんだろう佑真君。
何だか、夜は危ないって佑真君に言いまくっていたのが恥ずかしく思えてくる。
あー、もう。この距離からじゃ佑真君の顔がハッキリ見えない。
「佑真君!」
「ん?」
「ちょっとそこで待ってて!今すぐ下に降りるから!」
「えっ?」
「だって佑真君の顔、もっと近くで見たくなっちゃったから!」
もっと近くで佑真君の笑った顔を見たいから。
私のその言葉に佑真君は、照れたようにわしゃわしゃと自分の髪を乱すと、
「……しゃーねぇから、待っててやるよ!」
そうぶっきらぼうに言い放った。