お昼休み。
お弁当の蓋を開けていると、私同様にお弁当の蓋を開けながら夕香が口を開いた。
「ねえ、葉月」
「ん、何?」
視線をお弁当から夕香に向ければ、夕香のニヤニヤとした顔が見える。
「あれから畑野さんとはどうなの?」
合コンで知り合った畑野さん。
畑野さんと私の関係が進展したかという問いなんだけど、きっと夕香の期待に沿えない答えしか私は持ち合わせていない。
「どうもない。っていうか、もう連絡とかもしないと思う」
「えっ!何で!?」
私の予想通り、目を丸くして驚いている様子の夕香に思わず苦笑いが漏れる。
「昨日電話して、もう連絡しませんって言ったからだよ」
さらっとそう答える私とは打って変わって、夕香は驚いた顔のまま。
「なっ、何でそんな事言っちゃってんのよ!あっ、もしかして性格が悪かったとか?」
畑野さんの性格が悪いわけがない。
頭突きしたって怒らない温和な人。
それを夕香も分かっているのに、そう考えるしかきっとこの状態の説明がつかないのだろう。