夜。

「はぁ。」

どこに着いたのだろうか。
着いたのは、都会でもなく田舎でもない所だった。

「暗いよぉ…」

家から持ってきたのは、スマホ、充電器、お財布、服、タオル、洗顔道具、ペンポーチ。
必要不可欠な物だけ入れて持ってきた。

持ってきたスマホの画面を見ると、とっくに九時を過ぎていた。

「おい、こんな夜遅くに何してんの?」
「え…?」
「っていうか、俺もだけどな。」

後ろを振り向くと、暗くて良く見えないけど同い年くらいの人がいた。

「良かったら、うちくる?」
「あなた、誰で……」
「よし。決まり!ついて来い。」
「えぇ!?」

5分後。

知らない人に手を掴まれ連れてこられた所は、超豪邸。

「自己紹介遅れた。俺、佐々木奏人。
ここが俺ん家で、父さんが社長なんだ。」
「そ、そうなんだ…」

すごいなぁ…。

「君、ここら辺の人じゃないよね?」

バレてる…

「家出して来たの。」
「そうなんだ。じゃあさ、しばらくここ住みなよ。」
「え?お父さんとかお母さんいるんじゃないの?」
「大丈夫。俺がなんとか言っとく。」
「あ、ありがとうございます。」

予想もしてなかった…
偶然ここに来ただけなのに。