「七乃、泣かないで」 優しく呟いて、彼は私から腕を離した。 肩を掴んで、 私の体を自分の方に向けた。 彼は私の顔しか見てない。 包丁の存在に気づいてない。 「愛してる……七乃」 「夕麻くん……」 包丁を握りしめる彼はニヤリと笑った。 私は大きく深呼吸した。