冬ほど厚くなく、夏ほど区切らずふんわりと浮かんだ雲の流れをわたしはかれこれ1時間ほど追いかけている。
春ってあったかい。
「桃井さん、グループ決めたいんだけどいいかな」
クラスを仕切る委員長にそう声をかけられて、余ったところに適当に入れといてと小さく言った。
入学式の後、一週間ほど風邪をこじらせた。
あれほど憧れた女子高生1年目、どうもみなさんこんにちは。
ぼっちで有名な桃井深月です。
そんなこんなで、病み上がりの喉の調子はすこぶる悪く小さな声でしか喋れないということがわたしのぼっちに拍車をかけた。
神様は冷たい。
ていうか神は死んだ。
来週のグループ宿泊研修のためのLHRも雲を見つめるだけで終わろうとしている。
「スタートダッシュで全力で転けたな、わたし」
グループ決めなんてLHRの前々から決まってるようなもんじゃん?
入学式後の一週間ってその為にあるようなもんじゃん?
わたしは風邪で寝込んでるときにみんな仲良くなってるじゃん?
「………神は死んだ」
そう、わたしの運を全てゴミ箱に放り込んでからな。