髪の毛もボサボサで適当な洋服を身につけ、買い物に出る。

買い物にきている人たちすべてが幸せそうにみえる。

学生くらいの男女のカップルが、私の横を通り過ぎながら、ハロウィンどうしよっか、コスプレしちゃう? エッチなやつとか、やだー恥ずかしいこと言わないでよー。ただの仮装じゃん、みてみたいなー俺といいながら楽しそうに買い物をしていた。

あんなことがなければ、今頃、政宗さんと冗談のひとつでも言い合いながら、あの子たちのように互いの指をからめあいがら出かけていたんだろうか。

胸がくるしくなる。

こんなに一人がつらいなんて。

政宗さんに支えられていたことも知らずに、突っ走ってしまって。

気づけば買い物かごいっぱいにたくさんのお酒やつまみを投げ入れていた。

こんなことで気持ちを紛らわそうとするなんて。

重くかさばるお酒やつまみを持って自宅へと引きこもる。

まだ日が空高くのぼっているのに、カーテンをしめたまま、くらがりの中でビールをあおる。

飲んだ瞬間、政義さんの自宅へいったことを思い出す。

お酒でも嘘をつくったじゃないか。

政義さんから耳元で囁かれた、あの夜、出されたカクテルの名前。

ビトウィーンザシーツ。

調べてみたら、文字通り、ベッドに入ってを意味していた。

自宅にいけば、政義さんの手にかかるってわかっていたのに。

ますます政宗さんが遠ざかっていく。

私はこれからどうしていけばいいんだろう。

そうして、またビールに手をかけて、喉を鳴らして飲み干した。