「おいおい、そう拗ねんなって」
「拗ねてないよ、疲れたから静かにしてんの」
素直じゃないなあ、と遊助が僕の頭をぐしゃぐしゃにする。
「あああ、やめろよ、毛先痛むだろ、」
乱れた髪を直しながら、弁当をひろげる。
僕等の昼の特等席、屋上フェンス前。
ありきたりな場所だけど、心地よくてほんとに穴場である。
「あ、唐揚げ?」
横から箸が現れて、唐揚げがひとつ取られた。
「あ。」
お詫びなのか、お礼なのか、唐揚げの消えた場所に卵焼きが置かれた。
「交換な。」
肉は高校生男子の動力源だというのに、卵と交換されてしまった。
「はあ、卵焼きじゃあ対等じゃないよ」
仕方無いから、トマトを頂いておいた。