放課後

「本当に待っちょってくれるん?部活長いよ?」
輝緒チャンは中学からバスケをしているらしい。
「大丈夫だよ。輝緒チャン。アタシ絵を描いて待っちょくけん」
「も‐“輝緒チャン”じゃなくて“輝緒”って呼んで!本当ッ、樹菜は絵を描くの小学生からスキやなぁ…将来はやっぱり、そのミチ行くん?」
「まっ…まさか、ただ絵を描くのが好きなだけだよ。趣味だよ…趣味。ほらっ、早く行かんと…時間やばいよっ」

輝緒チャ…輝緒は焦って体育館へ行く。



実際は…画家になれたらなぁ‐っち思っちょる。
でも…アタシの家には、専門学校なんか行けるお金の余裕がない。
絵のことを勉強したいなんてわがままは言えん…。

アタシの家族は…アタシとお母さんと姉の亜矢…そしておばあちゃん。

お母さんとアイツはアタシが中学を卒業すると同時に離婚した…。
アイツと言うのは、お父さんのこと。
でもアタシはアイツのことは“お父さん”だっは思っていない。
アイツは離婚後…アタシたち姉妹の学費を一切お母さんに払おうとはせん嫌な奴だ。
だけん、お母さんはアタシたち姉妹の今の学費を頑張って仕事で稼いで払いよる。

家は…おばあちゃんの家に住まわせてもらっちょん。