バスの中に入れておいた荷物を下ろして、これからお世話になる旅館に持っていく。みんな、キャリーバッグにしているので荷物を運ぶのがとても簡単………だが、私は話を聞いていなくて……


「お前、本当バカだな」

大智は腰に手を当ててハァとため息をついた。

「だって…聞いてなかったんだもん」

私だけ、キャリーバッグではなく大きなカバンだ。(コロコロがついてない)
もう腕がパンパンだ。

「…ちくしょう……腕が痛い…」

「…ほら貸せよ。オレが持ってやるから。その代わりオレのやつ持ってろ」

大智は私のカバンをもって、自分のカバンを押し付けた。大智のカバンはコロコロがついていて運びやすい。

「でも、凄い重いよ!」

「そういうのは男に任せとくもんなのー」

ほら、行くぞとまた腕を引っ張られて進む。でもその腕の力は痛くなくて…大智はやっぱり優しいんだなと再認識する。

「…ありがと」

照れ臭くてあんまりお礼を言えないけど…、大智のことは大好きだ。

勿論、それは幼馴染として。


「ああ」



ー待ちに待った修学旅行が始まる。