穏やかに流れる河辺は優しい色の小さな花が一面を彩っていた。

そこには、穏やかに眠る白い着物を着た少女がいた。
小さな顔に、長いまつ毛、ふっくらとした唇は瑞々しくピンク色をしている。

少女が、ふと目を開けるとこちらを覗き込む少年が目に入った。

少年はにっこりと笑って話し掛けてきた。
「こんにちは。」
「…………。」
「こんな所で何してるの?」
少女は億劫そうに目を閉じた。
「……別に何もしてない……」
話は終わったとばかりに少女は深く息を吸い吐き出すと意識を沈ませていこうとする。

「ねえねえ、君の髪はどうして白いの?」
少年はまるで眠るのを邪魔する様に話し掛けて来る。少女は返事をせずに目を閉じたまま無視していた。
「何時からここにいるの?」
「なんで白い着物着てるの?」
「君は何歳なの?」
「名前は何て言うの?」
「……ここに一人で寂しくない?」
いくつも質問していく少年の声は返事を返してもらえない悲しさから段々小さくなって、最後の質問は消え入りそうな声になっていた。

少女は目を怠そうに目をあけると少年の方を見た。
自分を見てくれたことが嬉しかったのか沈んだ声が一気に弾みを取り戻す。

「ねぇ! 一緒に遊ぼう!」
少年は少女を引っ張り起こす。
「……遊ぶ?」
「よくわからない。」と頭を傾げる。
「どんな遊びがいいかな~! 鬼ごっこかなぁ、かくれんぼは~隠れるところがないね~」