「あいつは、」


「…ん?」


「小さい頃、親に虐待されててパーティとかしたことなかったんだよ」


〝虐待〟という言葉を聞いて、小刻みに体が震える。


それを抑えるように両腕で体を抱きしめると、楓が話を続ける。


「だから俺らと会って、初めて誕生日を祝ってやったときに、そういうことが好きになった」


「そう、なんだ」


「あぁ。ごめんな急に」


そう言いながら私が震えていることに気づいたのか、私を抱きしめた。


「ううん。聞けてよかったよ。

でもなんで話してくれたの?」


「愛結なら話しても大丈夫だと思ったから」