「貴方様の口から…もう愛していると聞くことはないのです、ね」
口だけじゃない体も勝手に動く。
私は短剣の先を自分に向けた。
「ロミオ様…愛しています」
そう言って、刺す演技をして倒れ、終わった。
会場は拍手に包まれ、私は自分自身で何が何なのかわからず、身動きがとれなかった。
そんな私を暖かく包み込んで、優しく抱きしめて舞台裏に連れていってくれた岡本くん。
「小鳥遊、すごかったぞ!どうした急に!」
「わ、私にもわからなくて…口が、体が勝手に…」
「舞台にいたのは小鳥遊すずじゃない。
ジュリエットだよ。
ジュリエットに入り込んだのかもしれないね」
岡本くんは依然、私を抱きしめながらそういった。
「さぁ、終わりだ!
後は文化祭を楽しめー!」
先生の言葉にみんなが喜びの声をあげ、
私と岡本くんは着替えるために更衣室に向かって、そのあと迎えにきてくれた雅ちゃんと文化祭を回っていた。