「お、岡本くん…!?」




「風邪引かれる方が迷惑でしょ」




そう言ってタオルで私の髪の毛をゴシゴシする岡本くん。




ち、近い…!
心臓がおかしくなりそう…。




「それに、なんかつまんない」




「何が?」




相変わらずゴシゴシする手を止めずにそういう岡本くん。




きっと今の私の顔は真っ赤だけど、
岡本くんの表情は?




いつも通りの表情、なのかな?
そうだよ、ね…。




「テレビ、1人で見るのつまんない。
いつも何かと文句言ったり、笑ったり、
何かある度に俺に話しかけてくる人がいないから」




うっ…完全に私のことなんだけど……。




つまらないって、そう感じてくれたの?




…それだけで、すごく嬉しいよ。
今なら、ジュリエットのセリフ言えるかも。




「〝おお、ロミオ、ロミオ!
あなたはなぜロミオなの?
お父様を捨ててください。名前もお捨てなさい。それがお嫌ならせめてわたくしの恋人だと誓って下さい。
わたくしもキャピュレットではなくなりますから。
名前だけが仇なんですもの。
あなたはやはりあなたですわ〟」




「………〝黙って、もっと聞いていようか、それとも声を掛けたものか?〟」




あ、岡本くん今言ったの、ロミオのセリフだ!