「で、なんで台本の内容を黙読しただけで
そんなに泣きそうになってるの?」
「だって…、もう悲しくなってきて……。」
教室の片隅で黙読をし終わった私に岡本くんは呆れ気味。
ロミオとジュリエットがこんなにも深いお話だったなんて知らなかった…。
「少し台詞言ってみようよ」
岡本くんはそう言って、台本を持ちながら立った。
「名場面、バルコニーでジュリエットがいうおぉ、ロミオ…からやろう。
少しジュリエットは台詞が長いけど、演技くらいはできるでしょ?」
そ、そんなこと言われても!
小学生の時の学習発表会で劇をやった時も
私の役は村人A(セリフ無し)だったもん!