「ロミオとジュリエットなんて読んだことない…」




「大丈夫だよ、この台本、すごく優しくわかり易くなってるから」




私の独り言を聞いて、そういった岡本くん。
岡本くん、朝はすごく嫌そうな表情をしてたのに…。

それに気まづいはず…なのに?




「ロミオとジュリエットなんて私、
おぉ、ロミオ…の部分しか知らないよ?」




「見せ場の一つだね」




他のみんなは衣装を作ったり舞台のセットを作ったり。
私達は台本の読み合わせをするように先生に言われた。




教室の一番隅の方に行き、机と椅子を出し向かい合わせながら座る。




「ねぇ、岡本くん」




「何?」




あれ、普通だ…。




「昨日、なんで不機嫌だったの?
怒ってるの?」




私がそう聞くと、目線は台本のまま黙り込んだ。




「怒ってた、不機嫌だった。
でも小鳥遊さんのせいじゃないから。
……俺自身の問題」




岡本くん…?