「…ねぇ、すず?」




ドア越しでお母さんの心配そうな声が聞こえた。




「起きてるよ。どうしたの?」




「千尋くんがお家に来てくれて、今すぐそこにいるのね。
お母さん、これから仕事だから行っちゃうけど、大丈夫?」




…千尋くん、今ドアの向こうにいるんだ。




「…大丈夫だよ、いってらっしゃい」




「それじゃあ、千尋くん。
後は任せるわ」




「本当、すみません…」




足音が次第に遠くなって、下の方でドアが開いて閉まる音が聞こえた。