海南東から2キロくらい離れた所に美浜海岸はある
そこまでたどり着くと遠くにあるテトラポットの上に人影を見つけた

「アネキ?」

近づくとすぐにアネキだとわかった

「何してんだょ」
「!?」

アネキは振り返ると僕の顔を見て驚いていた
そして無理やりな笑顔を作って言った

「秘密の場所、バレちゃった……」
「何があったんだよ」
「内緒!」

僕が真剣な目で見つめるとアネキは重い口を開いた

「初恋の人との思い出の場所」
「えっ?」
「彼…今はもぅいないの」
「どういう事だよ」
「…死んじゃった」
「……」
「好きって言えないままいっちゃったんだよ、ずるいよね」

僕はアネキの涙を始めて見た

「どんなけ新しい恋しても全然ダメ、もぅわかってんのにね……、アイツが運命の人だったんだって」
「……アネキ」
「運命の人って人生で1人しかいないのに、忘れょうとしてる自分が嫌だよ」

僕はアネキが今まで悩んでいたことを初めて知った
アネキは僕が思うほどずっと一途で、人間らしかった

「ならずっと大切にすりゃいい」
「!?」
「アネキの気持ち、よく分からんけどそんなに好きなら忘れなくていいよ」
「和也……」
「そうだろ?」
「ありがと」