家に戻った僕がテレビを見ていると何も知らない母さんが帰ってきた

「和也、ご飯作るから手伝って」
「了解~」
「聖子も手伝いなさい」
「は~い」

アネキはいつものアネキに戻った
だけどさっきの話を思い出すとちょっと心配だ

「和也もさぁ…」
「ん!?」
「大切な人がいるなら、伝えられる時に伝えなよ」

アネキのその言葉は明るい感じだったが、僕にはその重さが心に響いた

「…わかった」

アネキは少し笑うと仕事を再開した


今日の事を考えながらベッドに寝転んだ
アネキの言った事を思い出した

「大切な人か…」

一体誰なんだ
今の俺に取っての大切な人
一瞬、綾が頭をよぎるが何となく違う気がした
大切な人なんて沢山いる
でも一番大切な人って誰だ?
アネキは何でその人が運命の人ってわかったんだろ?
いつになったらわかるのかな?
もし、いなくなってから気付くなら……寂しすぎるな
そう思いながら目を閉じると不思議と眠くなった


目覚ましの音が鳴り響く
目をあけると部屋は薄暗かった
カーテンを開けると小雨がしとしとと降っていた