あたしが悠の顔をチラッと見ると、
一言も話さず、表情一つ変えず、遠くを見ていた。


「で、俺、思ったわけ。
悠の偽りの笑顔じゃなくて、心からの笑顔がみたいって。」


「それが理由…?」


「そっ。

悠、甘いもの好きで、いつも笑顔で食べてた。
だから、俺が、甘いもんで笑顔にさせてやろうって。

悠の父親が大事そうに持ってたケーキ。
それ、悠の好きなやつで、なかなか手に入らないケーキだった。
だから、俺が作ってやろう。

みたいな感じで、今に至る。」