俺は自転車置き場から自分のチャリを移動させ、凪子のカバンをチャリのカゴに入れる。
「自転車で送ってくれるの?」
「送ってからダッシュでこれで戻る」
「西久保君」
「ん?」
「ありがとう」
あらためて礼を言われると
急に恥ずかしくなる。
「行くぞ」
一緒に並んで5分ほど歩くと
もう生徒達の姿もほとんどない。
「乗って」
「え?」
「飛ばすぞ!」
俺はチャリに乗り凪子を誘うと
凪子は嬉しそうに後ろに乗り込み、俺の背中に身体を預ける。
背中に凪子を感じながら
俺はチャリをぶっ飛ばす。
凪子はギュッと手に力を入れ
俺の背中で泣いていた。
泣いてる理由は聞く気もない。
ただ
いつの日か
彼女が話してくれる日を願う。
彼女が少しでも
笑ってくれたなら嬉しい。
たとえそれが
俺の前だけだとしても
もっと笑って欲しかった。