一週間の部活停止が終わり、卓球部も再開。
七瀬は教室でも部活でも
俺には話しかけてこない。
別にいいけど……。
たまに目を合わせるとツンと横を向く。
別にいいけどアゲイン。
身体がなまっているのか
先輩とのラリーもお互い続かず、転がる球を追いかけて、ふと体育館から窓の外を見ると
凪子と松本が中庭に立っていた。
珍しすぎるツーショット
須田海斗の姿はない。
嫌な予感。
「すんません。走って来ます」
先輩に大きな声を出し
俺は体育館を飛び出し中庭に走る。
松本の顔が強張っていた。
あまりいい話じゃないだろう。
ふたりの姿を直で確認し
そっと様子を伺うと
「別れてほしい」
凪子の声が聞こえた。
「須田さんに言われるって変」
松本も負けない。
この町の俺達と同世代の女子は
優しくて明るいけど
負けん気が強くて
謝るのはいつも弱い俺達男子。
「お兄ちゃんと離れて欲しい」
凪子も負けない。
「須田君に言われるならわかるけど、それって意味わかんない」
「お兄ちゃんは私じゃないとダメなの」
「須田さんは海斗君に甘え過ぎてる。もっとひとりで全てやりなよ」
松本はゆっくり諭すように凪子にそう言った。