不思議そうな顔をしてると
「それより、凪子が学校で笑ってるの初めて見た」
「俺も」
日曜日は沢山笑ってくれたけど。
「凪子は西久保君と仲がいいんだね」
「仲がいいってほどでも」
懐っこい爽やかな笑顔で俺の隣に並び、教室まで歩く。
「嬉しいけど、あいつちょっと普通と違うから、親密にならない方がいい」
『おはよー』って俺達に声がかかり、須田海斗は笑顔で返事をする。
俺にそんな事をサラッと言いながら。
「凪子は僕の手元に置かないとダメなんだ」
「それって過保護すぎない?」
「……かもね」
シスコンか?
立ち止まって須田海斗を見上げる。
いつものように
端整な顔立ち
あの松本もすぐ落ちた王子様。
都会から来た王子様。
女って
王子様に弱い。
「須田君おはよう」
松本結衣が後ろから来て嬉しそうに声をかけた。
「俺もいるけど」
松本に冷たく言葉にすると
「颯大は見えなかった」
コロコロと笑い
松本は須田海斗と一緒に教室に入る。
お似合いのツーショットにクラスが揺れる。
「えーっ?そうなの?」
「やられたー」
あちこちから聴こえる声に、松本の白い耳が赤くなる。
こんな時に
白い耳と赤というキーワードにウサギを想像する俺
不吉な想像だな。