「うちの町民は大きい病気にかからない。自分で全て治癒する」
「治癒?」
「お前さぁ、小学校二年の時に自転車で事故ったの覚えてる?」
そう聞かれ考える。
あぁ確かにあった。
前方不注意で軽トラと接触したんだ。
「痛かったろ?」
「うん。スゲー痛かったけど、運よくネンザとカスリ傷で終わった」
両親にガンガン怒られて
その夜は病院でグルグル巻きにされたけど、次の日にはほぼ完治。
「あれネンザじゃねーし」
おじさんは笑って二本目の煙草に火を点ける。
「え?だって智和おじさんもあの場所にいてさ、ネンザって」
「複雑骨折で普通の人間なら後遺症で車イス」
「えっ?」
「軽トラと接触して、運よくネンザとカスリ傷って、ありえねーだろ」
たしかに……。
「颯大君。首の傷見せて」
凪子は細い手を伸ばし俺の首を触る。
須田海斗に切られた傷跡。
「そこ、どうした?そういえばお前血まみれだな。さっきのヤツの血じゃなくて自分の血か?」
おじさんは焦って俺の傍に来て首を触る。
「兄が颯大君の首をカッターナイフで斬りました。すごく深い傷で血もたくさん出たから、颯大君は殺されたって思ったけど、大丈夫で驚いた」
凪子に言われてこっちが驚く
そんなに深い傷だったのか。