プルミル工場はフル活動
山に迷い込んだ人間の血を混ぜ町民に配る。

弱った年寄りは
おじさんの診療所で輸血してもらうと
ほとんど元気になる。

町から出た人間には
役場からプルミルが宅急便で送られる。
それを週に二缶以上飲めば大丈夫。

お金をかけて最高の科学者が品種改良してるので、普通の人間が飲んでも害はない。

たまに
自分が悲しくなり
プルミルを飲むのを拒否する人もいる。

「飲まないとどうなるの?」

「まずは貧血気味になり、血を求めて人を襲う」

「七瀬も貧血気味って母さんが言ってた」

「あの子はプルミルちゃんと飲んでた?」

智和おじさんに言われて思い出すのは、自分の分も俺に渡してくれたプルミル。

「最近……プルミルより野菜ジュースが多いって……言ってた」
小さく俺が言うと
おじさんは嫌な顔をする。

「夏休み・冬休み・学校給食がない時期は特に貧血が多くなる。給食に出ると強制的に飲ませる事ができるけど、あとはサボるガキが多いからな」

「だからうちの町は給食なの?」

「そう。プルミルを飲ませる為の給食」

飲まないと
貧血になり人を襲う。

首筋を喰いちぎられた須田海斗と口元が血まみれの七瀬。

あれは現実だったんだ。

「彼女はパニくってたから、余計に本能が動いたんだろ」

おじさんは優しく言ってくれた。