普段は、真理子をチヤホヤしている二人も、裏では、悪口三昧だった。

「私も、あの子はトロくて好きじゃなかったけどさぁ、あんな風に仕事取り上げられて、超同情するよ。」

「ほんと、仕事もらえなくて、ポツンと座って、かわいそうでしたよね。」

「自分ばっかり仕事した気になってんだもん。主任。」

「ですよっ!こっちに回せる仕事まで抱え込んで、残業つけたいだけじゃないですかっ?」

「それを、主任ばっかり仕事してるっ。大変だって、守ってあげちゃう高田さんがいるから、余計ダメなんだよっ。
うちの部署は…。
私が入ってから、四人目だよ?」

「ですよねぇ。みんな、それが理由なんですよね?」

「そうだよ!もう主任が耐えられないよって言って、みんな辞めてったんだもん。」

「私は、寿までって決めてるから、頑張りますけどぉ。」

「私は、あれと一生付き合うのかぁ?」

堺は、すでに結婚していたが、共稼ぎだった。
経済的理由が大きいが、男に養われる、という発想が、どうしても、受け入れ難かった。

「転職かぁ~。」

「えぇ?堺さんがいなかったら、私も無理ですよー。」

「いやいや。ふーちゃんいなくなったら、私はどうすれば…?」

「…一緒に辞めましょう!」

手を取り合って、約束した。