堺はこっそりため息をついた。

槇村と話す事を考えるだけで、気が滅入ってくる。

仕方なく、デスクを立つ。

「主任。確認をお願いします。」

資料を渡すと、槇村は、ろくに見もしないで、デスクに落とした。

「あぁ。こんなの、いちいち聞かないで出来ないわけ?」

聞かないと怒るのは、槇村なのだが…。

「えっ。はぃ…。」

「もう四年目だろ?
自分でこのくらい、考えろよ。」

考えて作っても、何で聞かないんだって怒るくせに…。

堺は、ぐっと堪えて、作り笑いを浮かべた。

「あっ。すみません。では、それでやってみます。」

一礼して、自分の席へ戻った。


またかぁ。


堺は、言う事がコロコロ変わる上、上から目線で見下ろすように話す槇村が、好きではなかった。