悠紀は黙って聞いていた。

私は続けて話し続ける。

「まあ世の中には上手に生きてる不細工もいるよ?
でも大半の不細工はね、周りの対応の悪さに耐え切れずに自分にあった上手な生き方を身につけられないまま非現実の世界に走っていくんだよ。」

悠紀は頷いた。

「二次元の世界に走る不細工って多いしね。」

「そうでしょ。周りと目を合わせて向き合うのを恐れて極力傷つかないようにして、悪い意味での逃げ道を覚えちゃうんだよ。」

私は一気に喋って息切れしていた。

その様子をみながら悠紀は口を動かした。

「でもあんたはさ、自分の事不細工って思ってるみたいだけど、あんたは二次元の世界には走ってないじゃん。」

「私は1人の世界に逃げたんだよ。」

「あたしはそんなに麗華の事不細工とは思わないけどね。」


「世間的に見たら不細工でしょ。」

悠紀のフォローにも意思を曲げず私はひねくれる。

「確かに芸能人みたいに可愛いとは思わないけどさ。
私はあんたが世間が受け入れられない不細工だとは思わないよ。」

悠紀の褒めてるのかけなしてるのかよくわからない言葉に、私の気持ちは少しだけ緩んだ。

「それはどうも。
…でも周りにこんな美人な子がいると、どうしても卑屈になっちゃってさ。」