あたしがそう言うと真空さんは『やば』って顔をしていた。
疑問に思って真空さんの顔をのぞき込むようにして見ると、大きい目が更に大きくなっていて口もポカーンって空いている。
「はっ……ははっ……」
その顔がおかしくて、つい笑ってしまった。
「何で笑ってんの?」
真空さんが疑問そうに、あたしの顔を覗き込んで来た。
あと、数センチで唇が重なる距離……。
真空さんの整いすぎた顔に見とれていると『おーい』って言われた。
その声であたしは我に返った。
………何の話してたんだっけ?
あたしが考えていると真空さんが
「ね、次の駅で降りよ」
って言いながらあたしの腕を掴みながら歩いて行く。